チェルサポのチラ裏

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ボーリーは害悪オーナーなのか?①

2022年5月30日、トッド・ボーリーを筆頭とする投資家グループによるチェルシー買収が正式に決定。

そして彼主導の1年目の出来事は前回アップした記事の通り。

Twitterやらのネット媒体を見てみると、彼のクラブ運営については賛否両論である。というか7割くらいは辛辣な批判を占めているように感じる。「害悪オーナーだ」と…。

では、泥沼の1年目に何をしたかったのか?実際にボーリーは害悪オーナーなのか?

私なりの考えを書いていこうと思う。

 

〜ボーリーの公約〜

まずはボーリーらによるチェルシー買収が決定した際の彼らの公約を振り返ってみよう。具体的なチームに関する方針は以下の通り。

「ユースチームの育成と最高の才能の獲得に取り組みます。同時に我々の行動計画は、長期的にクラブに投資し、チェルシーの目覚しい成功の歴史を築いていくことです。」

チェルシー買収完了のベーリー氏、意気込みを語る「クラブに100パーセント尽力する」 | サッカーキング

要するに、ユースとスカウトを強化して持続的なチームを目指す、ということだ。

この公約を覚えている人も今やほとんどいないだろうが、言ってることはすごくもっともらしい。

 

〜ボーリーの改革〜

続いて、上記の公約を目指して行ったボーリーの1年目の改革を振り返ってみよう。

 

①ブライトン化

ソースは行方不明になってしまったがオーナー就任から間もない頃、ボーリーは確かにブライトンのチーム方針を絶賛していた。自分の記憶が正しければ・・・。

ブライトンのチーム方針は、攻撃的なサッカーを主軸に起き、データに基づいて獲得した若手をチームスタイルに合うよう育てるというものである。

これはボーリーの公約を体現しているようなものであり、実際に彼はブライトンでスカウトおよびリクルートの責任者を務めていたポール・ウィンスタンリー、ブライトンの監督であったグレアム・ポッターおよびそのアシスタントコーチの引き抜きを行い、新生チェルシーのブライトン化を図った。

まずは目指すチームスタイルを実現するため、それに適した上層部を配置するのは理にかなっていると言える。

 

②若手の乱獲

ボーリーらのオーナー就任以降、チェルシーは明らかに積極的な若手の獲得に移籍方針を固めている。

22/23夏にはマルク・ククレジャ、ウェズレイ・フォファナ、カーニー・チュクウェメカ、チェーザレ・カサデイなどを獲得。

同シーズン冬にはエンソ・フェルナンデス、ミハイロ・ムドリク、ブノワ・バディアシル、マロ・ギュストなどの獲得に成功。

23/24シーズン夏の市場はまだ開いているが、既にニコラス・ジャクソン、アンジェロ・ガブリエル、ウェズリー・ウゴチェクなどを手中に収めている。

これらの補強に共通する点は、20歳前後の選手であり6〜8年の長期契約という点である。

やりすぎ感は拭えないが、若い有望株を大量に獲得することは公約通りである。さらに、これらの選手と長期契約を結ぶことは、サラリーの抑制を行いつつ移籍金フリーでの流出を防ぐことに繋がるため、長期的なチーム運用を目指すうえで効果的なことだと考えられる。

 

③ユースチームの活用

残念ながら生え抜きのメイソン・マウントは給与面等で折り合いがつかずマン・ユナイテッドへ放出する結果となったが、その弟分とも言えるリース・ジェームズは今期以降チェルシーの大黒柱となることが期待される。

ボーリーがチーム編成を行って最初の既存選手との契約延長がリース・ジェームスであり、年俸は約5.5億から24億の7年契約を結ぶことに成功しており、ユース出身のスターの確保に成功している。

また、ユース出身でイングランドの次世代のセンターバックであるリーヴァイ・コルウィルも23/24シーズンからはトップチームへの帯同が濃厚。22/23シーズンにブライトンへレンタルする際に買取オプション付与を拒否した甲斐もあり、新たな7年契約を結ぶ見込みとなっている。

さらに、プレシーズンマッチではバーンリーへのレンタルから復帰したイアン・マートセンが活躍を見せており、トレヴォ・チャロバー、コナー・ギャラガー、アルマンド・ブロヤなどは昨シーズンに引き続き活躍が予想される。

その一方で、前述のマウントやルベン・ロフタス=チーク、イーサン・アンパドゥは放出され、カラム・ハドソン=オドイも彼らに続くと見られている。

アブラモビッチ初期のチェルシーを思えば、選手補強を敢行しつつもこれだけの数のユース選手がスカッドに入るのはファンとして嬉しいものである。一方で残念ながらチェルシーに残らず新天地を求める生え抜き選手もいるが、しっかりと移籍金を回収していれば次なる投資に繋ぐことができる。

まあそもそもコブハムが大きくなったのはボーリーの成果でもなんでもないが、前オーナーの遺産であるユースチームをしっかり活用していると思える。

 

ストラスブール買収

チェルシー買収から1年後の23年6月、ボーリーらはリーグ・アン(フランス)のストラスブールの買収を発表した。

元々、チェルシーのオーナー就任時に「シティグループレッドブルグループのようなサッカーグループ形成を目指す」と発言したと報じられており、その第一歩がストラスブールの買収だったということだ。

【1ページ目】チェルシー新オーナーが各国のクラブを〝爆買い〟か シティーグループに対抗へ | 東スポWEB

なんでも次はプリメイラ・リーガ(ポルトガル)のポルティモネンセの買収を狙っているとのこと・・・。

フットボールクラブのグループ化はマーケティングやアカデミー育成の側面が大きいが、ボーリーが狙っているのはおそらく若手選手の出場機会の確保である。

これもソースは見つからなかったが、「チェルシーのユースチームは優秀だが彼らをシニアチームに引き上げるシステムができてない」みたいなことを言っていたような気がしないでもない。

かつてエールデ・ヴィジ(オランダ)のSBVフィテッセと提携して多くの若手をレンタルしていた過去があったが、それを正式に深い関係でやっていこうという話であろう。

これにより埋もれてしまっている才能を引き出すことができれば、よりチェルシーユースを価値のあるものにできるかもしれない。

 

死ぬほど長くなったので一旦ここまで。

次回は実際のボーリー批判の正当性について。